2010年05月25日

臍帯血バンク存続危機 赤字拡大 宮城で表面化(産経新聞)

 新生児の臍(へそ)の緒から採取され、白血病などの治療に使われる「臍帯血(さいたいけつ)」。その保存・提供を行う各地の「臍帯血バンク」が資金不足に揺れている。「宮城さい帯血バンク」は資金難から平成23年度以降の存続が危ぶまれ、他のバンクも厳しい運営を強いられている。(佐藤好美、道丸摩耶)

 「日本さい帯血バンクネットワーク」によると、日本の公的な臍帯血バンクは11カ所。5月19日現在、計3万3016本の臍帯血が保存されている。

 経営危機が判明したのは東北地方唯一の「宮城さい帯血バンク」。保存されている臍帯血は1051本と全国最少。各バンクへの補助金は採取数などに応じて配分されるため、同バンクへの補助金はここ数年、2千万円前後にとどまる。同バンクは設立当初の寄付金を切り崩して運営してきたが、23年度にはそれも尽きる見通しだ。

 ◆構造的な問題

 採取数の少ない宮城では経営危機がいち早く露呈したが、経営基盤がもろいのは、宮城に限った話ではない。関係者からは「このやり方では、早晩やっていけなくなることは分かっていた」との声が漏れる。

 理由の1つは構造的な問題。骨髄移植は患者が現れた後にドナーから骨髄を採取する。しかし、臍帯血は新生児の臍の緒から採取するため、患者が現れるまで保存・管理するコストがかかる。患者に移植できてもバンクに入る診療報酬は1件約17万円に過ぎず、赤字が埋めきれない。

 「東京都赤十字血液センター臍帯血バンク」の管理責任者、高梨美乃子(みのこ)医師によると、同バンクで赤ちゃん1人分の臍帯血(1ユニット)使用までにかかる費用は、施設費を除いて約100万円。うち、診療報酬で2割弱、補助金で7割が賄われ、残り1割が赤字だという。移植件数が増えるほど赤字額が増えるのが実態だ。

 一方、米国では1ユニットの使用に約250万円が支払われる。これが採取や保存・管理、移送費用になる。

 ◆診療報酬を要請

 現状打破のため、「日本さい帯血バンクネットワーク」の中林正雄会長は4月、国に「臍帯血や管理費に診療報酬を認めてほしい」と要請した。不足額を補助金で埋めるのでなく、移植までの費用を診療報酬でみてほしいというわけだ。

 臍帯血移植は当初、子供や体の小さい女性にしか適用できなかった。骨髄移植のすき間を縫う事業だった側面もある。しかし、今や3万人以上の臍帯血が保存され、実績も年に約900例と骨髄移植に迫る。高梨医師は「実績は骨髄移植に比肩するのに、補助金は少ない。骨髄移植にある個人負担もない分、バンクが赤字を負う」と訴える。

 しかし、厚生労働省は「各バンクの経営が厳しいことは把握しているが、収支が合うバンクもある。いかに収支をとんとんに持っていくかだ」(臓器移植対策室)とし、今後についても「ネットワークで話し合うと聞いている」と、様子見の構えだ。

 名古屋大医学部の鈴木律朗准教授(造血細胞移植情報管理・生物統計学)は「臍帯血移植なしでは、今や白血病治療はできない。それなのに、補助金で賄うから今回のようなことが起きた。臍帯血移植のシステムを機能させるには、かかる費用を医療保険で賄い、医療費に組み込むのが妥当だ」と話している。

                   ◇

 ■「必要な治療 国に守る義務」

 バンクの経営危機に、患者も不安を募らせている。

 患者代表として、日本さい帯血バンクネットワークの運営委員を務める愛知県豊川市の加藤徳男さん(39)は「宮城の問題が表面化してむしろ良かった。このまま、他もつぶれてしまっていたら、何のためにバンクを作ったか分からない」と言う。

 加藤さんは28歳のとき、地域の健康診断がきっかけで「慢性骨髄性白血病」と診断された。4年後に急性に転化。移植が必要になり、医師からすぐにできる臍帯血移植を勧められた。

 当時、成人の臍帯血移植は少なかったが、「患者の会で知りあった人が臍帯血移植に成功していた。生きている人がいるのは心強かった」と加藤さん。運良く適合しそうな臍帯血が見つかり、平成14年に名古屋市の病院で移植を受けた。「移植にはお金がかかると思っていたから、医療費以上の費用は必要ないと知って逆に驚いた」という。

 予後は順調。移植患者に投与される「免疫抑制剤」も不要になり、今では普通の生活を送っている。「臍帯血が採取できる施設はほとんど増えておらず、治療も東京に集中したまま。臍帯血移植という治療が必要なのは明らか。バンクを守る義務は国にもあると思います」と話している。

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2010年05月20日

高砂市役所や県民局も捜索 社福法人の不法投棄で兵庫県警(産経新聞)

 兵庫県姫路市から空き瓶処理を委託された社会福祉法人「五倫会」が、リサイクル用に粉砕したガラス片を不法投棄したとされる事件で、県警は13日、五倫会の廃棄物処理法違反容疑を裏付ける関係先として、高砂市役所と県の東播磨県民局(加古川市)の2カ所を家宅捜索した。

[フォト]社福法人がガラス片2500トン不法投棄、姫路市役所など捜索

 ガラス片が投棄された空き地が高砂市内にあり、同市が土地所有者から事情を聴き、県民局も調査しているため、県警は産廃処理に関する資料なども押収し、不法投棄の経緯を調べる。

 県警によると、五倫会の理事長(73)は、高砂市の建設会社元社長(66)と共謀し、元社長所有の空き地と五倫会が運営する授産施設敷地内にガラス片計約2500トンを投棄した疑いが持たれている。

 県警は五倫会の理事長らから事情聴取しており、14〜15日にガラス片が投棄された空き地と障害者施設の敷地を掘り起こして現場検証し、詳しい投棄量などを調べる。

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2010年05月13日

「常勤医いない…」テレビで窮状知り、免許ないのに手助け志願(産経新聞)

 医師不足に悩む岩手県宮古市の県立宮古病院で、10日着任する予定だった男女2人が、医師免許を持っていなかったことが判明。県警宮古署は8日夜、自称・大阪市在住の無職、一宮輝美容疑者(44)を医師法違反の疑いで逮捕し、男(38)からも事情を聴いている。一宮容疑者は容疑を認めているという。

 宮古署や病院関係者によると、一宮容疑者は平成20年11月、テレビ番組で循環器医がいない病院の実情を知り、勤務を名乗り出た。「大阪大医学部出身で大阪市内の赤十字病院の救急専門医だ。手助けしたい」とうそをついていたという。

 宮古病院や県医療局によると、面接などを経て2人の採用を決めたが、2人は免許提示を求めても、「職場に置いてある」などと出し渋っていたという。また「もめるから大学に照会するな」「患者とトラブルがあり勤務先は自分の氏名を公表しない」とうそを繰り返し、発覚を逃れていた。

 病院に免許のコピーが届いたのは今月6日。ところが、登録当時の厚生相の公印がなく、医政局長の氏名も別人だった。通報を受けた宮古署は、2人が“着任”のため市内のホテルに投宿した8日、事情聴取を行った。

 菅野千治院長は「詰めが甘かった。住民の高い期待を裏切る結果となり申し訳ない」と話している。

 宮古病院は約3年前から循環器の常勤医がおらず、心臓疾患の救急患者は、約2時間かけて盛岡市に搬送されている。

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